Technique of white wine production(Maceration Pelliculaire)
ボルドーの白ワイン技術 - マセラシオン・ペリキュレール(スキン・コンタクト)

ボルドー大学のドゥニ・ドゥブルニュー教授とそのチームが1980年後半から手がけてきたボルドーの白ワインに対する 醸造技術で、ブドウの果皮から果汁への香味成分、プレカーサー、アントシアニンなどの抽出を目的とするものです。圧搾や醗酵の前に約4~24時間、マセラシオン(浸漬)させることにより香味や出来上がるワインのボディーが増します。 
果皮と接触させることによりPHが上昇(酸味が減少)する傾向にあります。 またアミノ酸の濃度が上がり(アミノ酸はたんぱく質から成り、その中には20種類以上ものアミノ酸が存在します。このたんぱく質が特定の生化学的な反応を 起こし酵素(Enzymes)となります)、より醗酵を促します。ブドウ品種は、セミヨン、ソーヴィニョン・ブラン、ミュスカ、リースリングなどが向いています。また果皮と接触さ せるため果実の健全なものでなければなりません。

 

ソーテルヌ地区 (Sauternes)

ボルドーの南部に位置するこの地では世界的に最も有名な甘口の白ワインが生産されています。そのエリアはソーテル ヌ、ボンム、ファルグ、プレイニャック、そしてバルサックの5つの村から成っています。ここでの最上級であるプル ミエ・クリュ・スペリュール(1er Cru Superieur)は唯一、シャトー・ディケムのみです。続いて、プルミエ・クリュ
(1er Cru )/一級格付けの11シャトー、二級格付け(2emes Cru)の14シャトーが存在します。 中でもバルサック 村は独自のAOCを持っており、ただしAOCソーテルヌとして販売することも可能です。この地区からの辛口白ワインは AOCボルドーのみ格付けが許可されています。ソーテルヌ地区は特定のメソクライメットの影響を受けて生産されるワインです。ここには二つの川が流れており、ひ とつはガロンヌ川、もうひとつはその小さな支流であるシロン(Ciron)川です。 秋になるとその川の影響によりブド ウ畑には霧が多く発生し、翌日の朝、太陽の日差しを受けその霧が蒸発すると貴腐菌(ボトリティスシネレア)はより繁殖し、その影響で果実はしなびたような状態となり最高の貴腐ブドウが出来上がります。その結果、果実の酒石酸と糖分が劇的に凝縮され、またグリセリンが生産され、それによりワインに粘性を与えます。また最終的なワインにアロマとフレーバーをも与えてくれます。 収量はとても低く素晴らしいヴィンテージでさえ最高25hl/haのみと規定されており、中でもシャトー・ディケムの平均収量は9hl/haのみです。ワインは通常オークの樽で18~36ヶ月間熟成され、中には新樽100%を使用するシャトーもあります。

土壌は一般的に砂利質土壌で下層土はチョークや粘土質です。 しかしジロンド川に近いところでは沖積土が多く、他に比べて軽いエレガントなワインに仕上がっています。。

ブドウ品種は3種が栽培されており、セミヨン種、ソーヴィニョン・ブラン種、ミュスカデル種です。中でもセミヨンが最も重要な品種で、貴腐菌の影響をより受けやすく典型的なブレンドだと約80%がそれを占めています。ソーヴィニョンはセミヨンよりも貴腐菌の影響を早く受け、酸の高い品種で、セミヨンの太った感じで香りに欠ける欠点を補ってくれます。ミュスカデルは若々しいアロマを主に与えてくれます。素晴らしいソーテルヌは一般的に巧妙でエレガントでありアプリコットのようなドライフルーツのアロマにアカシアの花などバランスのとれた凝縮感を持ち合わせています。法律により残糖分は最221g/lと定められています。